かつらへ向けて,いよいよ増毛ライフの開始である。 月に1〜2度、散髪を兼ねてサロンへ行く。 床屋と同じイスに座り,1時間ほどかけて、1回で500本ほどの毛を自毛に結びつける。 結びつけが終わったら,自毛ごと,結んだ毛をカットして長さを整える。 こんな感じだ。 結果には満足した。 増毛は見た目は自然なのだ。 洗髪も普通にできる。じっとみると髪が妙に枝分かれしてバレルが,日常生活ではそんなシーンは考えにくい。 ただ,一度だけきわどいシーンがあった。 たまたま抜けた毛が机に落ちたのだ。 それを後輩の女の子に見られた。 「あれ?」 枝分かれした毛。それも枝毛と違い,すべての太さが同じである。1本の毛に結ぶから,3本の毛が根本で繋がっているのだ。オバQのあたまの毛を想像して欲しい。 それが机に落ちているのだ。あからさまに不自然である。 あわてて毛を手で吹き払い,素知らぬ振りをした。 彼女はそれ以上は何も言わなかった。 おそらく,彼女はそれが何を意味するのかわからなかったのだろう。 経験のない人には,増毛の仕組みなんてわかるはずがない。 その後噂も立たなかったから,少なくともそのことを彼女は誰にもしゃべらなかったのは間違いない。 わかった上でだまっていたのか,本当にわからなかったのかは今となっては謎である。 結びつける自毛というのはもともと弱っているわけで,そんな毛に負担をかけるわけだから,通常より更に抜けやすい。くれぐれも,この方法を使うときには抜け毛がまわりに落ちていないか,常に注意した方がよい。 |